閉め忘れた水道のように(入院記・中)
(前の記事の続きです)
・2007年1月12日、某市民病院、消灯後の病室。
・12時間以上続く点滴からくる気だるさの中、ぐっすり就寝。
といきたかったところだけど最大級のピンチが私を襲う。
・両方の鼻が詰まった。
・くるひい。とても寝付けるものではない。
それに頭痛もひどい。
・手術をした左の鼻には、スポンジ状のガーゼと綿の玉が
ぎっしり詰っているし、右の鼻には手術の現場から出てきた
血やら何やらが固まって大元をふさいでしまったようだ。
・左はあきらめるとして、右は何とか抜けないものか。
・ふんぬ。
と、少し鼻をかむようなことを試みる。
・全然反応がない。しかしあまりやると後が怖い。
・そうだ、左から出てくるものを押し込んでしまっているから、
大モトが詰るのではないか、と思い
左側の土のう(綿の玉)を撤去して、数を減らす。
・手術後ずっと、鮮血と鼻汁が混じったものは止まらず
ポタポタ出続けている、まるで閉まりの悪い水道のようだ。
枕はすでに血だらけ。
・まぁ出るもんは出てもらっていいとして、問題はとにかく
この寝苦しさだ。左の鼻を押さえた上で、さらに右側の
ダムに発破をかける(鼻をかむ)。
・が、さっぱり状況はよくならない。
なおかつ、左の鼻からの出流量が増えているような??
この間、看護師さんが何度も様子を見に来るが、
氷枕で冷やすぐらいしか対処法方法がないようだ。
・2時間ほど格闘するが、相手は自分の鼻の中なのでもどかしい。
鼻の詰め物は変えても変えても、すぐ血だらけになるので
もうあきらめた。
思えばここでこだわらずにさっさと寝てしまえばよかったのに。
・0時を越えたころ、
たまにタラッと出ていた血が「ポタッポタッ」になり、
すぐに「ダラーダラーッ」と、
流れ始めた。ここで初めてナースコールを押した。
・所長!大変です!決壊したようです。。
閉まりの悪いの水道どころか、完全に閉め忘れた水道ぐらいに
鮮血が左の鼻と、口から二すじ垂れてくる。
上を向くと喉に流れてくる。
・えーと大体、コーヒーメーカーでドリップ中な位出ています。
しかもダブルドリップです。
・とたんに、ナースセンターにいる看護師さんがほとんどが
集まり囲まれる。
婦長らしき看護師さんに、
「これは処置してもらわなあかんわ、今先生呼ぶから!」
と言われる。
・あーあ、夜中に来てもらうんか、悪いなぁ。
と思いながらも血は止まりそうにない、血だけでなく
固体も出てきた。生レバみないのんが。
・若い看護師さんに「もうちょっと辛抱やで」
と励まされるが、
ああ景気よく出てますね、出血大サービスですね、
などとくだらないことを言っている自分。
・そして処置室に運ばれ、血圧と酸素量を自動で測る
機械に繋がれる。
と、そうしたときに、急に悪寒が走り、
脂汗が全身に浮き出る。
あ、やばい意識が飛ぶときはこういう感じか。
・それに伴って身体も力が入らなくなる。ぐったりしてきたので
処置室のベットに足を上げた状態で寝かされ、
先生が来るのを待つ、その間も血は出続け、
自分の頬を濡らす。
ああ、もうなんとでもして、それにしても・・・
・なんと無力なのか。
(続く)
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